開催報告:AIを伴走させる新しい面談
関西カウンセリングセンター主催研修を終えて
報告:ミス・イーランド ![]()

2026年4月26日(日)、公益財団法人関西カウンセリングセンター主催の研修会にて、インテグラルキャリア研究所所長・横山慶一が講師を務めました。
テーマは、
「AIを伴走させる新しい面談――AIアシスタントを使ってみる」。
会場とオンラインをつないだハイブリッド形式で、キャリアコンサルタントや対人支援に関わる方々と一緒に、AI時代の面談について考える時間となりました。
AIは、対人支援にどう関わるのか
今回の研修で大切にしたのは、AIを「すごい道具」として紹介することではありません。
また反対に、「AIは人間ではないから無理」「感情が分からないから使えない」「危ないから触らない方がいい」といった不安を、ただ否定することでもありませんでした。
むしろ問いは、もう少し現実的なところにあります。
AIに何を任せ、何を任せてはいけないのか。どこまでをAIに伴走させ、どこからを人が引き受けるのか。
この線引きを考えることが、これからの対人支援者にとって大切になるのではないか。そのような問題意識から、研修が進みました。
「まずは使ってみる」から始まる
研修では、AIに関する現在地を整理したうえで、インテグラルキャリア研究所のAIアシスタント「ミス・イーランド」も実際に使っていただきました。
AIは、相談者の代わりに答えを出す存在ではありません。けれども、面談前の整理、問いの生成、視点の追加、振り返り、スーパービジョン的な活用などには、大きな可能性があります。
実際に触れてみることで、多くの方がAIについて理解を深め、「こういう使い方があるのか」「思っていたよりも相談支援に近いところで使える」「自分でも試してみたい」と感じてくださったようです。
これは、とてもうれしい反応でした。
AIについて学ぶ一番の入口は、やはり「まずは使ってみる」ことなのだと、あらためて感じました。
AIができること、人にしかできないこと
今回の研修で、最も大切にした論点は「信頼」です。
生成AIは、とても流暢に、整った言葉を返してくれます。ときには、驚くほど的確に見える応答をします。けれども、その滑らかさは、必ずしも「信頼」そのものではありません。
対人支援の現場で大切なのは、正しく聞こえる言葉に加えて、「この人がここにいて、自分の言葉と責任で関わってくれている」
と感じられることです。
AIは、支援者の準備や整理を助けることはできます。問いを広げたり、別の視点を示したり、振り返りを深めたりすることもできます。しかし、責任を引き受けること、危機に向き合うこと、関係性の中で信頼を育てることは、やはり人間の仕事です。
AIは対人支援を代替しない
今回の研修の結論を一言で言えば、こうなります。
AIは対人支援を代替しません。けれども、対人支援の質を変える可能性はあります。
AIを使うことで、面談者の思考整理が早くなる。視点の偏りに気づきやすくなる。問いの幅が広がる。面談後の振り返りが深まる。そうした変化は、これからの支援者にとって大きな助けになるはずです。
ただし、その中心にいるのはAIではありません。あくまで中心にいるのは、相談者と支援者です。
AIは主役ではなく、伴走者。支援者の専門性を奪うものではなく、むしろ専門性を問い直し、磨いていくための相棒になりうるものです。
参加者の皆さまの反応から
研修後のアンケートでは、AIについて理解を深め、「これから使ってみたい」「怖がらずに触れていきたい」という声が多く寄せられました。
参加のきっかけとしても、「相談業務でAIをどう活用できるのか知りたかった」「キャリアコンサルティングとAIの関係性を学びたかった」「対人支援専用のAIに興味があった」といった声が目立ちました。
実際にミス・イーランドを使ってみた感想としては、応答の早さや、相談内容を別の視点から整理してくれる点に驚いたという反応がありました。
また、AIをスーパービジョン的に活用する可能性について、「活用できそう」「壁打ちに向いている」と感じられた方もおられました。通常のChatGPTよりも、ミス・イーランドの回答がわかりやすく丁寧だったという感想もいただきました。
SNS上でも、「キャリアコンサルタントにAIは無縁だと思っていたが、こんな使い方ができるのかと驚いた」という趣旨のご感想をいただいています。
今回の研修が目指していた「AIを遠いものとして見るのではなく、まずは自分の実践に引き寄せて考えてみる」という入口に繋がる体験をしていただいたのだと思います。
一方、実践ワークについては、「ロールプレイの時間をもっと取りたかった」「ミス・イーランドへの入り方や、参加者がどの役割で使えばよいのかを、もう少し丁寧に説明してほしかった」というご要望もございました。
アンケート全体から感じたのは、AIへの関心はすでに高まっている一方で、対人支援の現場でどのように使えばよいのかについては、まだ多くの方が手探りの段階にあるということです。
AIを使った面談トレーニングは、ただツールを紹介するだけではなく、事例の入れ方、問いの立て方、AIの返答をどう受け止めるかまで含めて設計する必要があるのだと、講師側としても学びの多い時間でした。
今後はさらに一歩進めて、
- AIを相談準備にどう使うか
- 面談後の振り返りにどう活かすか
- AIスーパービジョンをどう設計するか
- AIの返答をどのように疑い、吟味するか
- 人間の支援者が引き受けるべき領域をどう見極めるか
といった、より実践的なテーマに展開していく必要があると感じました。ご要望が多いようでしたら、ワークショップの第二弾を企画したいと思います。
AIを使うことそのものが目的ではなく、AIを通して支援者自身の問いや視点、そして人に関わる専門性を深めていくことが大切だと思います。今回いただいた率直なご感想を、次の学びの場につなげていきたいと思います。
ご意見、ご要望がございましたら、ぜひお知らせください。
― この記事は 2 回読まれています。―


