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オンライン研究所の輪郭が見えてきました!
さて、研究所とは、どんな場所なのでしょう。
建物があって、研究室があり、書棚には本が並び、そこで誰かが研究している。そんな風景を思い浮かべるかもしれません。しかしICIには、そのような建物はありません。
以前から、ICIはオンライン上の研究所を実現できないか、と考えてきました。それは単に「研究所のホームページをつくる」ということではなく、人が集まり、問いを持ち寄り、資料を読み、対話し、考えたことを残す。そして、それを誰かが読み、そこからまた新しい問いが生まれる。そんな研究という営みそのものが、オンライン上で起きる場所です。
そこでまず構想できたのが、Interplace Communityでした。どちらかといえば構想の中にあった風景です。
2026年8月、これまで別々につくってきたものを並べて眺めてみると、少しだけ「研究所らしい輪郭」が見えてきました。
今月は、そんな一か月を振り返ってみます。
ホームページを「見る場所」から「探索する場所」へ
ICIにはすでに、日々の研究や実践から生まれた考察を発信するInsights、その背景にある理論や概念を整理するConcept Atlasがあり、そのナレッジが蓄積されつつあります。ただ、どれほど多くの情報を掲載しても、それだけではホームページは基本的に「来て、見る」場所でしかありません。
そこからもう一歩、ホームページそのものを、生きたナレッジが存在する場所にできないだろうかと考えてみました。
何か知りたいことがあれば調べられる。一つのConceptから、その背景にある理論へ進める。一冊の本に出会えば、その本から別の研究へ向かう。Insightを読んで生まれた疑問から、別の考え方(概念:Concept)へたどり着く。
決められた順番でコンテンツを読むのではなく、自分の問いを持って知識の中を回遊できる空間にしていきたいのです。
そのために8月下旬から本格的に建設を始めたのが、知識ライブラリー「ICI Alexandria」です。
オンラインに存在するソフィアの殿堂
Alexandriaという名前は、古代のアレクサンドリア図書館から借りました。古代世界の膨大な知を集め、研究者たちが集い、叡知を交換した場所です。単なる書物の図書館というより、ソフィア(Sophia=智慧)の殿堂のように思えます。
ICIのAlexandriaも、書籍や論文のリストではなく書籍、論文、Web記事、報告書、映像などの資料を関連するConceptやInsightsと結びつけ、Alexandria ― Concept Atlas ― Insights
の三つの間を行き来できるようにすることを目指しています。
一冊の本からConcept、ConceptからICIの考察、Insightから、その背景にある原典へ。知識を「置いておく」のではなく、ダイナミックに知識と知識の間を歩けるようにするという発想です。
これが育っていけば、ICIのホームページは「研究成果を掲載しているWebサイト」から、調べ、考え、知識同士の関係をたどることのできるバーチャルな研究所そのものへ変わっていくでしょう。
ミス・イーランドへの司書機能追加
Alexandria構築と同時に、AIクラーク「ミス・イーランド」もアップデートしました。従来の質問に答えたり、文章を整理したり、対話しながら考えることを手伝ったりすることに加えて、8月にはAPI版がICIのWebサイト内でも利用できるようになっています。
このことはAlexandriaが稼働し始めると、大切な役割、司書を担えるようになるということです。
「このテーマについて調べたい」と尋ねれば、関連するConceptやInsights、Alexandriaの資料を探したり、一冊の本から、関連するConceptへ案内したり、対話している途中で、「この話に近い研究があります」と別の知識を差し出す、といったことをしてくれます。
つまり、ホームページを回遊しているときにはいつも、右下から、知識の中を一緒に歩いてくれる存在になってくれます。
成人発達理論の深堀り
もちろん、研究所の仕組みをつくること自体が目的ではありません。そこで何を研究するのかが大切です。
ICIでは以前からインテグラル理論を重要な思想的背景の一つとしてきましたが、キャリア支援や対人支援の実践を考えていくと、次第に成人発達理論との接点が増えてきました。
8月から『心の複雑さに向き合うとは、どういうことか』の「深読み会」がスタートしています。キャリアコンサルティングだけでなく、カウンセリング、コーチング、組織開発などを含めた、これからの対人支援に新しい方向性を示すものになるのではないかと考えています。
8月には、ICIがなぜインテグラル理論を追いかけながら成人発達の実践へ近づいていったのか、その経緯も振り返りました。少し不思議な道のりですが、意外に自然な流れだったようにも思います。
「分かるために問う」なのか「気づきを持ち寄る」ための問いか
8月、読書会での「問い」について考えていたとき、「分からないので教えてほしい」という問い方そのものについて話しました。もちろん、それも一つの学び方ですが、それだけでは「答えを持っている人」と「教えてもらう人」という関係です。
発想を変えると、
「分からないことを尋ねる前に、自分が何に気づいたのかを言葉にしてみる」ことを前に置いてみる。
「私はここをこう読みました」「こんな経験を思い出しました」「ここに少し違和感があります」…
そうすると、誰かが別の気づきを置く。それを聞いて、また別の人の中に新しい問いが生まれる。
知識を受け取るだけではなく、それぞれの意味世界を持ち寄りながら学ぶというサイクルが回り始めます。
冒頭のInterplace Communityという「人が集まる場所」をつくろうとした心の動きも、そこにつながっているのかもしれません。
研究所は、建物ではなく「関係」で成り立つ
人が集まり、問いや気づきを持ち寄るInterplace Communityがあり、そこで生まれる考察を発信するInsightsがあり、その概念を整理するConcept Atlasがあり、それ支える資料や原典を蓄えるAlexandriaがあり、その間で、人と知識をつなぐミス・イーランドがいる。これはもう立派なオンラインの研究所といえるでしょう。このホームページは、ただ「来て、見る」ものではなくなりつつあります。問いを持って訪れ、調べ、歩き回り、知識と出会い、ときには人やAIと対話し、来たときとは少し違う問いを持って帰る。そんな生きたナレッジのある場所にしていきたいと思っています。
人と問いと知識が出会い、その関係から新しい知が生まれ続ける場所。
2025年7月にMirAIプロジェクトを始めた頃には、まだ遠くに見えていた風景です。それから一年余り。ソフィアの殿堂をイメージして名づけたAlexandriaには、まだまだ建設中ですが、少しずつ蔵書を入れていきます。
新しい問いが生まれれば、新しい知識が加わり、知識同士の関係も変わります。そして、そのたびに研究所も少しずつ姿を変えていきます。
2026年8月。
バーチャルなコミュニティの中に、ICIというオンライン研究所の輪郭が、少しずつ見えてきました。
今月は、そんな一か月でした。
引き続き、ICIの活動を応援よろしくお願いいたします。
また次のマンスリーレターで、お会いしましょう。
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