
この1年ほど、AIクラーク「ミス・イーランド」の構築を通じて、ずいぶんAIと付き合ってきました。試行錯誤を繰り返すなかで、最近になって一つ、AIを使いこなすことは、実はそれほど難しいことではないのではないか、と思うようになりました。
AIを使いこなすために必要なもの
もちろん、AIそのものは高度で複雑な理論や技術によって成り立っています。その仕組みを深く理解しようとすれば、相応の専門知識が必要でしょう。しかし、私たちが仕事のなかでAIを活用するために、必ずしもそうした技術を詳しく理解する必要はないのです。
むしろ重要なのは、自分が何をしたいのか、その仕事は何のためにあるのか、何を実現すればよいのかを、きちんと理解していることなのだと思います。
仕事の目的や本質が分かっていれば、AIに何を任せ、何を自分で判断すべきかも見えてきます。期待した結果が得られなければ、どこに問題があるのかを考え、指示を変えたり、仕事の進め方そのものを見直したりすることもできます。
反対に、仕事の本質が曖昧なままでは、どれほど高性能なAIを使っても、その能力を十分に引き出すことは難しいでしょう。何をさせればよいのか分からず、出てきた結果が適切なのかどうかも判断できないからです。
いまだに「AIは難しそうだから使わない」「何となく怖い」と話す人は少なくありません。もちろん、その不安には、情報漏洩や誤情報への懸念など、もっともな理由もあるでしょう。しかし、技術的な仕組みが分からないから使えないというのであれば、それは少しもったいない誤解のように思います。
少し皮肉な言い方になるかもしれませんが、AIがこれほど便利だと分かっていても、何に使えばよいのか見当がつかないとすれば、それはAIの難しさというよりも、自分の仕事をどこまで理解しているかという問題なのかもしれません。
AIを使うことで、仕事が分かるようになる
もっとも、ここには逆の関係もあるように思います。
仕事の本質を理解しているからAIを使いこなせるのであれば、反対に、AIを使うことによって自分の仕事への理解が深まるということもあるのではないでしょうか。
実際、AIに何かを任せようとすると、これまで経験や勘で行ってきた仕事を、改めて言葉にして説明する必要が出てきます。何を目的として、どのような判断を行い、何をもってよい結果とするのか。そうしたことをAIとのやり取りのなかで考えていると、自分自身がそれまで十分に意識していなかった仕事の意味や判断の根拠が、少しずつ見えてくることがあります。
つまり、仕事が分かっているからAIを使えるという一方向の関係ではなく、AIを使いながら仕事への理解を深め、その理解がさらにAIの活用を高度にしていくという、相互に発展する関係があるのだと思います。
AIが問い直す、仕事の本質
ミス・イーランドを構築してきた経験から感じるのは、AIが私たちに問いかけているのは、技術についての知識だけではなく、むしろ「あなたは自分の仕事を、どこまで分かっていますか」ということではないか、ということです。
そう考えると、AIの登場は単なる業務効率化の機会ではなく、これまで当たり前のように行ってきた仕事の意味や、その本質を改めて問い直す機会であるともいえます。
AIを学ぶことよりも先に、自分の仕事を理解すること。そして、AIを使いながら、その理解をさらに深めていくこと。
この1年、AIと向き合ってきて、今はそんなことを考えています。
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