エージェンシー

Agency
🟧 理論External Theory / Model
最終更新:2026年8月10日

■ 概要

エージェンシー(Agency)とは、自らの境界と固有性を保ち、自分自身の意思や価値にもとづいて選択し、環境に働きかけようとする主体的な力を指す。インテグラル理論では、あらゆるホロンが「一つの全体」として自らを維持しようとする基本的な方向性として捉えられ、他者やより大きな全体と結びつこうとする「コミュニオン(Communion)」と対をなす。

ICIでは、エージェンシーを単なる「自己決定」や「自立」とは捉えない。人は常に他者・組織・社会・文化との関係の中に存在しており、その関係を無視して完全に独立した主体になることはできない。むしろ、自らが置かれた関係や条件を認識しながら、自分の感覚、価値、意思、境界を失わず、自らの生き方やキャリアの形成に参与していく力として理解する。

したがってICIにおけるエージェンシーとは、「何でも自分で決めること」ではなく、他者とのつながりを保ちながら、自分自身の人生の主体であり続けることである。

■ 定義

エージェンシーとは、他者や環境との関係の中にありながら、自らの境界・固有性・意思を保持し、自らの選択と行為を通して環境との関係を形成していく主体的な力である。

■ 参考資料・外部情報

  • David Bakan, The Duality of Human Existence: An Essay on Psychology and Religion(1966)
    • AgencyとCommunionを人間存在の基本的な二つの様式として論じた古典的著作。
  • Arthur Koestler, The Ghost in the Machine(1967)
    • ホロンおよびホラーキー概念の主要な出典。自己主張的傾向と統合的傾向をもつホロンという考え方は、後のインテグラル理論におけるAgency / Communion理解の重要な理論的背景となる。
  • Ken Wilber, Sex, Ecology, Spirituality: The Spirit of Evolution(1995)
    • ホロン、ホラーキー、Agency / Communion、「超えて含む」などを統合的な進化・発達論として体系化した主要著作。
  • Ken Wilber, A Brief History of Everything(1996)
    • ホロンの「全体であること」と「部分であること」に対応するAgency / Communionを比較的理解しやすく解説している。
  • Integral Life, “Agency and Communion”
    • インテグラル理論におけるAgency / Communionを、ホロンがもつ自律性と関係性の基本極性として整理している。

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