Z世代を“つなぎとめる”のではなく、“共に育てる”へ

インテグラルキャリア研究所が考える、新しいマネジメントのかたち

Z世代の働き方や価値観が、組織に大きな変化をもたらしています。
「3年以内に辞めたい」と感じている若手社員が約7割にのぼる――
そんな調査結果を見ると、不安を覚える企業も多いかもしれません。

けれど、私たちはそこに「危機」だけでなく「問い」を見ています。Z世代が発しているのは、“どう生きたいか”“どう働きたいか”という、社会全体への問いです。

この声をどう受け止め、どう応えていくか。それが、これからの組織に求められるマネジメントの本質だと思います。

定着支援 ― “辞めさせない”から“関わり続けられる”へ

Z世代の離職理由を見ていくと、給与や待遇のほかに「自分の成長が見えない」「自分の意見が届かない」という声が多く聞かれます。彼らは“会社にいること”よりも、“成長し続けられること”を重視しているのです。

私たちは、ここにこそマネジメントの転換点があると考えます。

定着を“引き止め”ではなく“関係の継続”として捉える。入社後3年間を「探求と成長の期間」として、上司・メンター・人事が対話を軸に伴走する。

そんな環境の中でこそ、Z世代は自分の仕事を“自分ごと”として考えはじめます。
定着とは、組織にとどまることではなく、関わり続けたいと思える関係をつくること。
その関係性をどうデザインできるかが、企業の本当の競争力ではないでしょうか。

心理的安全性 ― “言いやすさ”の先にある“響き合い”

Z世代の多くは、率直でありながらも、非常に繊細です。正直に意見を伝えたいけれど、拒否されることへの怖さも抱えています。

だからこそ、今の職場に求められるのは、「自由に発言できる場」だけではなく、“その発言がちゃんと受け止められる場”です。

心理的安全性という言葉は広く知られるようになりましたが、私たちはそれを“静かな安心”ではなく、“対話が生まれる安心”として捉えています。

上司が聴く姿勢を持つこと、違う意見をすぐに否定せず、まず理解しようとすること。
そうした日々の小さな関わりの積み重ねが、「この職場なら大丈夫」という信頼をつくります。


成長設計 ― “キャリアパス”より“キャリアストーリー”を

Z世代にとって、キャリアとは「上に登る」ことではなく、「自分がどう生きるか」の物語です。

「何になりたいか」よりも、「どうありたいか」。この視点を持つ彼らに、固定的なキャリアパスを示しても響きません。
むしろ、試行錯誤の中で見えてくる“自分なりの道筋”を一緒に描いていくことが、マネジメントの役割になっていくのだと思います。

1on1やフィードバックの場も、単なる業務報告ではなく、「どんな経験が印象に残ったか」「どんな瞬間に成長を感じたか」を語り合う時間へ。その対話の中から、個人の成長と組織の目的が自然に重なっていきます。

私たちが大切にしたいこと

インテグラルキャリア研究所は、Z世代を「育てる対象」ではなく「未来を共に創るパートナー」として見ています。

彼らが感じている迷いや不安の奥には、“より良く働きたい”“社会に貢献したい”という、純粋な意志があると思います。
私たちはその声に耳を傾け、一人ひとりが自分らしく成長し、チームの中で活かされる環境をともにつくっていきます。

Z世代の登場は、組織の「若手対策」ではなく、人と組織の関係性を根本から見直すチャンスです。

私たちはこれからも、「共に学び、共に育つ」関係性をベースに、企業と個人の新しい共創モデルを探求していきます。

Z世代を“変える”のではなく、Z世代と“変わっていく”。その中に、未来のマネジメントの姿があると、私たちは信じています。

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