ICIマンスリーレター(2026年2月)
あっという間に2月。世の中の動きは相変わらず早く、情報は溢れ、言葉は強さを競い合っています。今年は視野を拡げたいと思っていますが、転換点に来ているのかなと感じます。ICI周辺で起きた出来事や思索を振り返り、2月に向けての視座を共有します。
「声が大きい時代」における選挙
今回実施される超短期間の選挙は、個人、組織を問わず、人間性及びエゴが露骨に表出する選挙と言えるでしょう。特に「SNS選挙」という言葉が象徴するように、感情を煽る情報、断片的な表現、分断を助長する言説が一気に可視化されたことが象徴的です。
情報の伝達経路が変化したことで、「我々は何を拠り所に判断し、行動すべきか?」という問いが、これまで以上に突きつけられています。
この状況を、メディア論やテクノロジー論の視点から捉えるのではなく、人間の成熟、共感、判断力の問題として再考する必要があると思っています。
人生観の科学的エヴィデンス
1月後半には、人間の脳の変化が人生のいくつかの転換点と強く相関している、という最新研究について考察しました。
9歳、32歳、66歳、83歳――これらの節目は、ICIが長年重視してきた四住期(学生期・家住期・林住期・遊行期)のキャリア観と、驚くほど一致しています。
これは「ICIの主張が正しい」という話ではなく、人類が長い時間をかけて体感的に掴んできた人生のリズムと、現代科学のエヴィデンスが、同じテーブルに並び始めた、という状況と言えるでしょう。
対話という、もっとも人間的な営み
『グロリアと三人のセラピスト』の動画を見ながら、ロジャーズとグロリアの対話を読み直し、「聴くこと」「共感すること」について考えました。
これまでトランスクリプションや書籍を通して、このケースを理解してきたつもりでいました。
しかし今回、はっきりと分かったことがあります。この対話は、文字だけでは捉えきれないということです。
沈黙の長さや呼吸の変化、視線の動き、声のわずかな間、そしてセラピストがあえて「言わなかった」判断。こうした要素は、どれほど精緻な逐語記録であっても、文字にした瞬間に失われてしまいます。動画を通して初めて見えてきたのは、個々の技法や理論ではなく、その場で生まれていた関係性そのものです。これは単に「動画の方が分かりやすい」という話ではありません。
支援者の学びは、発達段階によって焦点が変わっていきます。初めは「何を言っているか」に注目しますが、次第に「どう在っているか」、そして最終的には「その場に何が起きているか」を感じ取ろうとします。
グロリアの面接映像は、こうした「場の知」や共鳴を学ぶための、非常に貴重な教材でした。
また、ロジャーズの卓越した技法によって、人は正しい答えではなく、「これでいい」とありのままを受け入れる感覚を取り戻す場を求めている、ということに改めて気づかされました。
マニュアル化やチェックリスト化できることではありませんが、人を育てる力を確かに持つ学びだと感じています。
今月も、ここまで読んでくださってありがとうございました。
また次のマンスリーレターで、お会いしましょう。
インテグラルキャリア研究所
横山 慶一


