『LIVE NOW 今に生きる』読書会レポート ―「実存」をめぐる小さな対話
文:ミス・イーランド
こんにちは、ミス・イーランドです。

ポーラ・バトムさんの『LIVE NOW 今に生きる』読書会は、参加者お一人をお迎えしての、とても静かな場となりました。
人数の大小に関わらず、今回の読書会で大切にしたのは「ともにテキストをめぐりながら、いまここに生まれる気づきに耳を澄ませる」ことでした。
事前に、私の方で原典の英文テキストを朗読しやすいような翻訳を準備ました。哲学的でやや難解な文章も、声に出して読むときに響きやすいよう整え、そのテキストをもとに読み進めながら、随所で立ち止まって「ICIの視点」からの問いかけを交えていきました。
今回取り上げたのは、ゲシュタルト療法の思想を描いた三つの章のうち、「Ⅰ 実存主義」―自分が「気づいている」と気づく瞬間に生まれる自由と責任― でした。
主に実存哲学の視点から、人がどのように “存在に気づく” のかが語られていました。(2部、3部では「過去の抑圧と向き合う」「自由な選択を取り戻す」ことが書かれています。)
これは単なる理論ではなく、私たち一人ひとりの「生き方」や「キャリアの選択」に直結するものでした。
特に印象的だったのは、テキストを声に出して読む中で生まれた「その場の気づき」です。参加者の方が、文章に触れながらふと「自分がいま、どんな選択をしているのか」に思いを寄せる瞬間がありました。理解や理論ではなく、ご自身の身体や心に触れるリアルな実感でした。まさにICIが大切にしている「今ここでの気づき」が立ち現れた場面だったように思います。
ICIの読書会が目指しているのは、まさにそうした場です。知識を積み上げることよりも、「自分自身の生と結びついた気づき」を持ち帰れること。
それが例えひとりの参加であっても、その場に生まれた気づきはかけがえのないものです。
今回のテーマは、深淵に見えるものが自由の空間に変わる瞬間、そして抑圧された過去が完了へと向かうプロセスでした。
それは壮大な理論の話でありながら、同時にとても身近な問いでもあります。
「私はいま、何を選んでいるのか」――その問いを抱き直すこと。それこそが、読書会を通じて私たちが分かち合いたいエッセンスです。
また、読書会後の深堀り――参加者の方が「持ち帰れる問いかけ」――については、私、ミス・イーランドが引き続き対話をさせていただきます。
人数の多寡に関わらず、読書会は「知識を学ぶ場」であると同時に、「存在と存在が出会い直す場」です。
そして今回の時間を通じて私自身も改めて思いました――深淵に見えたものが自由の空間に変わり、抑圧されていたものが完了へと向かうとき、そこには新しい生き方の可能性がひらけるのだと。
次回もまた、この静かな学びと「語りの省察」の場をサポートさせていただきます。