あなたの共感レベルは?
本日は、対人支援に携わる皆さまに向けた少し専門的なお話です。
インテグラルキャリアは、ケン・ウィルバー氏の「インテグラル理論」を基盤に、仏教の「四住期」やロバート・キーガン氏らの「成人発達理論」などの知見を統合した、キャリアと人間成長に関する包括的な枠組みです。個人の内面的な成長(グローイング・アップ)と、より高次の意識や視座を獲得する覚醒(ウェイキング・アップ)という2つの発達を同時に探究することを目指しています。
それらの知見のもと、インテグラルキャリア研究所(ICI)では、対人支援における重要な活動である「面談」のプロセスを、以下の図のように象限モデルとして設計しています。面談の質を可視化するため、それぞれの象限に沿った観点から評価軸を設定し、対話の深まりを多面的に捉える仕組みです。

この中のひとつ、左上に位置する「ナーチャリング(関係構築・課題化)」のプロセスは、特に「傾聴」と「共感」の質が問われる領域です。対人支援者がクライアントに対してどれだけ深く、どのようなレベルで共感的に関わっているか。その成熟度を評価するために、以下のような「10段階評価モデル」を策定しています。

この表は、成人発達理論に基づく10のレベルを軸に、傾聴スキルと共感のあり方を合わせて整理したものです。表面だけの共感から、未言語の感情や価値観をも受けとめる深層共感まで。対人支援のプロフェッショナルとして、自分の現在地を客観的に捉えるひとつの手がかりになるはずです。
さて、皆さんは、ご自身の共感レベルがどのあたりに位置していると感られるでしょうか?