インテグラル理論 × マインドフルネス
〜体感を通じた「つながり」の再構築〜

インテグラルキャリア研究所(ICI)では、対人支援に携わる専門家たちが、より深い理解と実践的な知見を共有するための学びの場を創り続けています。その論理的立脚点として私たちが大切にしているのが、「インテグラル理論」と「成人発達理論」です。これらの理論を、単なる知識としてではなく、自らの体験を通して深く理解するために、私たちは「深読み会」という対話の場で丁寧に読み解く時間を重ねています。
現在取り組んでいるのが、『インテグラル理論を体感する』という書籍です。この書では、理論を「知る」ことから「生きる」ことへの転換、すなわち日常の実践へと統合することに重きが置かれています。帯に掲げられた「インテグラル理論 × マインドフルネス」という言葉が示すように、本書は、私たちがマインドフルネスの境地を体感し、さらには“目撃者(Witness)”としての視点、そしてその先の統合的な気づきのレベルへと進んでいくための道標でもあります。
マインドフルネスは、近年さまざまな分野で注目を集めていますが、その背景には歴史と思想の流れがあります。
特に、1960〜70年代のアメリカにおいて展開された人間性心理学の潮流と、それに続くヒューマン・ポテンシャル・ムーブメントは、当時のアメリカ文化に根ざしたパラダイムシフトを引き起こしました。この文脈を理解することで、インテグラル理論の誕生や、東洋思想・瞑想の再評価との融合がいかに自然な流れであったかが見えてきます。
こうした流れは、伝統的な心理学のカリキュラムにはなかなか登場しない、いわば“周縁”に位置するものかもしれません。しかし、対人支援の実践者にとっては、まさにこの「周縁」こそが、自らの在り方や関わりの質を変えていく鍵であると感じます。これは、学術的に扱いづらい「シャドウ」の領域とも言えるかもしれませんが、だからこそ、私たちはそこに目を向け、丁寧に統合していく価値があると思います。
ICIでは、こうした探究を通じて、理論と実践、個と集団、過去と未来とを“つなぐ”支援を目指しています。マインドフルに、そしてインテグラルに学び、歩んでいきたいと考えています。
